自社と顧客の間にWin-Winの関係を築く/市場が本当に求めているモノ、自社の商品・サービスを知る『本当のマーケティングの意味』とは
コロナ禍となって3年目。私たちの生活や仕事は外出自粛などで大きな変化がありました。
飲食業やホテル・旅館など観光業も大変厳しい状態にあります。
とはいえ、10月11日から「全国旅行支援」がスタートしました。
2020年7月22日からスタートした「GoToトラベル』に続く「全国対象」の観光需要喚起策で、秋田県でも『あきたびキャンペーン』と銘打って12月20日まで実施されています。
今回の観光喚起策等で生まれる需要を確実に売上につなげるため、今一度自社の商品・サービスについて一緒に考えてみましょう。
マーケットインからのものづくり
『モノづくりは「プロダクトアウト」から「マーケットイン」の時代へ移り変わってきている』と言われて久しいです。
「プロダクトアウト」とは企業が商品開発・生産・販売活動を行う上で、企業側の都合(論理や思想、感性、思い入れ、技術など)を優先するやり方です。
これに相対し「マーケットイン」とは企業が商品開発・生産・販売活動を行う上で、顧客や購買者の要望・要求・ニーズを理解して、ユーザーが求めているものを、求めている数量だけ提供していこうという経営姿勢の事で、”売れるものだけを作って提供する方法”です。
プロダクトアウトが、作り手の理論を優先させるのに対して、マーケットインはお客様が必要としているものを優先して、商品の企画や開発を行っていきます。
お客様が必要としているものを優先するには「知る事」が大事
『顧客』買ってくれるお客様の事
- お客さまは普段何にお金を使っているのだろう?
- 何に時間を使っているのだろう?
- 何に耳を傾けているのだろう?
- 何を見ているのだろう?
- 何を感じているのだろう?
『競合』競合相手
- 自社と同じようなものを売っている他社のその商品について
- どんな商品が出ているのか
- どんな人に売れているのか
- 自社の商品と何が違うか
- それはどんな点で売れているのか
『自社』自社の商品について
- どんな点が評価が低いのか、受け入れられないところはどこか?
- どんな点で売れているのか、どこが好評なのか?
- 他社の商品と何が違うのか
- どんな人に売れているのか?
それによって、
- 顧客が真に求める商品やサービスを作る
- 顧客が真に求める情報を届ける
- 顧客が求める商品を効率的に得られるようにする
この①~③までの活動を「マーケティング」といいます。
一般的に「市場調査の事だ」「テレビや新聞、雑誌などで商品やサービスを宣伝することだ」など、マーケティングに関して様々な印象がもたれていますが、市場調査やテレビや新聞、雑誌などで商品やサービスを宣伝することなどはマーケティングの一部の機能であって、全体を表しているわけではないのです。
マーケットとは、リサーチとは
マーケティングの学者でもあるフィリップス・コロラーは、『マーケティングとは、顧客の価値と満足を理解し、創造し、伝え、提供することであり、企業の立場から考えると、顧客を満足させて、利益を得ることである』と定義しています。
こういった定義を聞くと”マーケィングって難しい”と感じるかもしれませんがマーケティングの本質は実のところ非常にシンプルで「儲け続ける仕組みを作ること」です。
- 顧客が真に求める商品やサービスを作る
- その情報を届ける
- 顧客がその商品を効果的に得られるようにする
この一連の流れ、仕組みを作ることです。
ここで言う”儲け続ける”のは自社のみではなく、顧客 (お客様)も儲けつづける(メリットを受け続ける)ということです。
自社にもプラス、お客様にもプラスになる。
つまり、マーケティングとは、自社と顧客の間にWin-Winの関係を永く築く仕組みと言い換えることができるのです。
企業は、顧客にコスト以上の価格で商品やサービスを提供することによって利益という儲けを手にできます。
一方で顧客は商品やサービスに対して代金を払っても、それ以上の価値が得られれば、儲け(メリットを得た)という満足感を得る事ができます。
お客様が満足感を得る、これがWin-Winの関係です。
例えば、新しくオープンしたレストランがあったとします。
このレストランのオープンしたことをチラシ等使ってお客様に知らせることになります。
そして、そのチラシを見て興味をそそられたお客様が来店して食事をすると、店の雰囲気や接客態度、料理の美味しさなど様々な判断基準を自分の支払うお金と比較します。
お客様は、支払う代金よりも自分が得た価値や満足感(料理が美味しいとか、注文した時の 態度や料理を出してくれた時の態度がすごく良くて気分が良くなったとか、お店の雰囲気がステキで楽しく食事出来た とか)で満足感の方が大きいと感じてもらえれば顧客側はWinとなり、このレストランにまた来たいと思う事でしょう。
反対にレストラン側は、お客様からいただいた代金から経費を差し引いてプラスになればWinとなり、ここで企業と顧客のWin-Winの関係が成り立つことになります。
ちなみにこれは、物を売る、自分が手にしているものをお金に換える時に忘れてはいけない手法なのです。
マーケティング活動の一つとして『マーケティングリサーチ』があります。
マーケティングリサーチとは
このマーケティングリサーチとは、市場調査の事で、商品やサービスのマーケティング活動を行うために、市場(マー ケット)に関する情報を収集し、分析することを意味する言葉です。
提供している商品やサービスが顧客のニーズに合っているかどうか、あるいは今後の新商品開発においてどのようなニーズに応えていけば良いかなどが主な分析対象となります。
地方の特産品やこれから売り出そうと作戦をたてている特産品は、特にリサーチを怠ると、どこにどう売り込んで良いか分からない「迷走品」になってしまいます。売れないのではなく、選ばれないだけなのです。
売ろうとしている商品が
- ほかの地域では販売されていないものなのか、類似品はないか
- 販売されているとすればどのぐらいの市場規模なのか、どこにあってどのくらの大きさか
- 販売されていないものだとすると他の何に似ているのか
作り手がこれを知らずに商品を手掛けると、「とにかくおいしいから買って」としかPR出来ない商品になる上、 魅力を見つけられずに商品の材料の成分による効果効能、例えばビタミンが多いので肌に良いなどをうたいたくなってしまいます。
そして重要になってくるのはお客様のメリットを考える事です。
それを買うことで、消費者はどんなメリットがうまれるのか。
しっかりと伝えられるモノが売れているものです。
特に今は、同じようなものが溢れかえっている時代です。
売ろうとしている商品は、他の似た商品に対して、どこにどんな差があるのか。
お客様に対して、自社の作った商品の優位性を主張する為には他の商品や市場をきちんと調査する必要があります。
秋田県よろず支援拠点にご相談ください
いかがでしたでしょうか。提供している商品やサービスは お客様のメリットに繋がっていますか。
「全国旅行支援」等の盛り上りが本格的になる前に、是非一度考えてみて下さい。
商品を売り出そうと思った時、売り出したいけれども何から始めて良いのか分からない時は秋田県よろず支援拠点(電話番号:018-860-5605)にお気軽にご相談ください。お待ちしております。
このコラムの執筆者
横山 哉子(Yokoyama Kanako)
主な経歴
フードコーディネーター。地元文房具会社の事務を得て、北海道、九州を除く本州四国管内の営業を経験。その後宿泊業の事務や保険外交員などを経て食品の専門家として商品開発やレストランプロデュース、メニュー開発にかかわる。現在は秋田県よろず支援拠点コ ーディネーター(食品関係)。